春日若宮おん祭 大宿所祭

 

12月15日、今年で884回を迎える " 春日若宮おん祭 " に先駆けて行われる「大宿所祭」。

「大宿所」は奈良市餅飯殿町(もちいどの商店街)の街なかにあり、奈良の年の最後を締めくくるおん祭の中の日程で、市民の人々に親しまれています。

昔、おん祭を差配した大和国内の有力な士(大和士)が集まって、精進潔斎し、祭礼の前日に集まって、ここ大宿所にお籠りしたので「大宿所」と言われました。

今でも「大宿所」にお参りすることを ” せんじょ参り ” と呼んでいます。江戸時代には、ここは遍照院と呼ばれていて、それが訛って ” せんじょ ” と一般に言われるようになったのではないかと言われています。

このような ” わらべ歌 ” があります。

「せんじょいこ

 まんじょいこ

 まんじょの道には

 何がある

 尾のない鳥と

 尾のある鳥と

 せんじょいこ

 まんじょいこ」

※尾のない鳥云々は「懸鳥」のことか

「大宿所祭」は絶えていたものを34年前の春日若宮おん祭が850回となることを記念して復興されました。中でも明治時代に絶えていた ” 御湯立(みゆだて)の式 " が復活され、13時より始まり、おん祭に奉仕する大宿所詣の行列にお祓いを行います。

 

大宿所詣は今、「郷の神子」「八嶋の神子」「奈良巫女」がおん祭に奉仕するにあたって湯立のお祓いを置けるために、奈良駅前より行列を組んで参ります。

 

特に当日、おん祭に奉仕する " 大和士 " 等の参列する「大宿所祭」は17時から」行われ、一般参拝者のための湯立が18時から行われて「大宿所祭」は終了します。

 

「大宿所祭」の見どころ

 

懸鳥

大宿所の境内に設けられた杉葉造りの小屋に、鯛や鮭、雉などが吊り下げられてお供えされます。これは全国的にも規模が大きく有名です。正徳5年(1715)の『大宿所日記覚帳』によれば、雉1,268羽、タヌキ143匹、兎136匹とあります。また別の年には、腐ることを考えて多めに準備したり、逆に数が揃えられず銀子で収めた場合もあったようです。

懸鳥が奉納される際は奈良奉行所の与力、同心、願主等が立ち会い、祭終了後には懸鳥を町の人々に配ったようです。

 

これらの賭鳥、昔は大和国内の大名等が鳥や獣を狩り集めお供えしたもので、その後、大小名、大和士等の禄高に応じて数が割り当てられ、村々の庄屋が費用を拠出し、奈良の八百屋などの請負人が発注して大宿所に納めていたようです。

 

 

献菓子

大和士がお供えする珍しい盛菓子で大宿所の神前に飾られます。

嶋台・盃台

大宿所祭調度品で、嶋台6台と盃台3台が120年ぶりに復興され神前に飾られます。

 

 

 

御湯立の儀

巫女が笹の葉でお湯をふりそそいでお祓いをする儀式です。

このお湯をいただくとご利益があると言われ、また湯立巫女が腰に巻く藁は安産はじめ、様々なご利益があるといいます。

 

 

 

 

 

 

のっぺ汁

 " のっぺ汁 " の振る舞いが行われます。

のっぺ汁は昔からおん祭の時などに、各家々でこしらえました。こんにゃく、人参、油揚げ、里芋などの煮込み汁で、当日には大宿所でも振舞われます。これには特に " がん封じ祈祷 " が行われた春日大社の竹柄杓が使用されています。