神楽を大きく分類すると2分類になります。

宮中で行われる御神楽と民間で行われる里神楽です。

宮中御神楽は平安時代(貞観年間:859~877)に成立したといわれています。

里神楽が現在のように成立していくのは、江戸時代中期とされています。

といっても、現在のようなまとまった神楽ではなくずっと以前から、神を依りつかせ、託宣を述べる舞は行われていたと思われます。古く邪馬台国の卑弥呼は鬼道で人を惑わしたとさりますから、神がかりとなって舞い、トランス状態になるような舞を舞って託宣を述べたのかもしれません。あた『記紀』にある天岩戸で舞った天鈿女命は、その原型だったのかもしれません。

なお、里神楽には「出雲神楽」「伊勢神楽」「山伏神楽」「高千穂神楽」「江戸神楽」「浪速神楽」などに分類される。

                                                        

 

賢所御神楽

 

宮中では12月15日(15日が日曜日の場合は16日)に行われるという。これは年末に当たって賢所に御神楽を捧げて神々を慰め、そのご恩に感謝し、さらに弥栄えを祈る祭儀である。『皇室祭祀令』には第20条には" 小祭 " とあって12月中旬に行われるとある。同じく祭祀令の第24条には「賢所御神楽ハ賢所ニ於テ之ヲ行フ」とある。

天照大神が天岩戸に隠れた時、天鈿女命(あめのうずめのみこと)が焚火の前で歌い舞い、天児屋根命(あめのこやねのみこと)が祝詞を読み上げ故事によって行われるようになったと言われている。

内侍所御神楽は、平安中期の一條天皇(987~1011在位)の時代から始まって現在に至り、このような古い宮中行事は新嘗祭と賢所御神楽の二つだけだという。

この日天皇陛下は、午後5時、賢所内陣にご昇殿し、ご拝礼になられる。

午後6時から賢所前庭の神楽舎で庭火が焚かれて御神楽が行われる。神楽舎の三方(正面以外)には幔幕が張りめぐらされ、西南の隅には入り口を設ける。神楽舎の正面中央に庭火を設け、掌典補が奉仕する。

御神楽は午前0時10分頃終了する。途中、1時間ほど休憩がある。御神楽が終わると、人長(にんちょう・学師の長)は輪榊((わさかき)を賢所にお返しし、掌典はこれを受けて吹上御所にいたり、侍従、女官を経て天皇陛下に献上する。賢所では、幣物、神饌の撤収があってはじめて御神楽が終了し、両陛下はこの通知をお受けになってご就寝になられる。

入江相政侍従長「宮中歳時記」

 

 

 

浪速神楽は現在30座が伝わっています。

式目順序(または名称)は神楽伝承の伝家によって異なることもありますが、併記します。

 

⑴ 磐戸開 

 とこよなる 鳥のやこえに ほのぼのと あくれば開く あめのいわかど

⑵ 庭ノ舞(一名式神楽)

 霜やたび おけどかれせぬ 榊葉に 立ち栄ゆべき かみのきねかも

⑶ 榊舞

 榊葉に ゆうとりしでて たが世にか 神のみ前に いわいそめけん

⑷ 四方拝

 おろがみし ここもたかまの 原なれば つどいたまえや よもの神々

⑸ 和幣

 君が代の 長月こそは嬉しけれ 今日すめ神を まつりはじめて

⑹ 早神楽

 (歌詞なし)

⑺ 杼鍬

 いつくさの たなつ物こそ うけもちの 神ぞましける よろず世のため

⑻ 花ノ舞

 広前に 花をかざして さしつれば 袖をかざせと ちらしとぞおもう

⑼吾妻(胡蝶)

 広前に 扇かざして かなずるを 蝶のあそびと みそなわしわまう

⑽稲積

 うらやすの たやすの秋の 初穂もて あなうらやすの 今日のみにえや

⑾鉾ノ舞

 久方の おめよりおろす 玉鉾の 道ある御代は 大やしまくに

 この鉾は いづこの鉾ぞ あめにます 豊岡姫の 宮の鉾なり

⑿相舞

 昔より ためしにならう 瑞垣は つくりし日より 神さびにけり

 めずらしな 今日の神楽の 八乙女を 神もうれしと 偲ばざらめや

⒀玉太刀

 剣たち 玉の光も かがやきて 神のみいつと あおげもろ人

⒁八雲

 八雲たつ 出雲八重垣 つまごみに 八重垣つくり その八重垣を

 み剣をの みいつ尊し 八尾わたる やまたのおろち 切り払うらし

⒂八平手

 ひと筋に 手にとりもちて 八平手に 祈る心を 神もうけひき

⒃山巡

 秘伝の神楽

⒄大山の幸

 あずさ弓 手にとり持ちて ちはやふる 神のみ前に 今日ぞまつれる

⒅花湯

 瑞垣の 神のみよより ささの葉を たぶさにとりて 遊びけらしも

⒆神酒調進

 この神酒は わがみきならで 大和なす 大物主の かみし神酒なり

⒇剣の舞

 ひさかたの あめにあがりし むらくもの 剣はいまも よよにつたえき

 しげりける 道くさなぎの 剣こそ やまとたけなる 神のみこころ

(21)浪速津

 浪速津に さくやこの花 冬ごもり いまを春べと 咲くやこの花

(22)大海ノ幸

 いそ舟の もやいとくとく 糸たれて 釣りえし鯛は あまのうみさち

(23)菖蒲刈

 いさぎよく 神をいさめて 菖蒲かる 君のめぐみは 民のよろこび

(24)神鏡

 真榊に かけて仰がん やた鏡 神も心を うつしたまわん

(25)大里 

 いにしへの 神のみとしろ あとたれて いまぞ種まく あめのむらわせ

(26)扇ノ舞

(27)扇ノ舞

 瑞垣の 神のみよより ささの葉を たぶさにとりて 遊びけらしも

(28)湯立

(29)鈴扇

 すめがみの 今日の神楽に あう人は 千とせのよわい 延ぶというなり

 

※大阪神社庁は30座とする資料を作成。これら以外にも諸家に別座がある。

《太々神楽》

・仙行楽

・萬歳(まんざい) 扇の舞の別名といわれ、一名萬歳のことではないか。

・朝桜

・日綱