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有馬温泉 入初式 湯もみ

 

1月2日、有馬温泉(神戸市北区)で、古式豊かに「有馬温泉入初式」が行われました。

 

これは、日本最古の神霊泉といわれる有馬温泉に、古式豊かに伝わる「入初(いりぞめ)式」という行事です。

 

史料に現れるのは「古事記」「日本書紀」で、舒明天皇が舒明3年(631)、孝徳天皇も大化3年(647)が御幸されていて長期滞在していることが記録されています。

 

有馬温泉の歴史は古く神代にさかのぼり、大己貴神・少彦名命の二神によって発見され、それから後の神亀元年(724)、薬師如来の霊告によって行基菩薩が、この有馬の地に一寺三院を建立して温泉を再興し、町は大いに栄えたと言われています。

その後、六甲山の水害のため、約300年ほど壊滅状態となっていましたが、建久2年(1191)、奈良吉野の僧、仁西上人が熊野権現の夢告によって有馬温泉を訪れ、再修築されるとともに、薬師如来の十二神将にちなむ十二の坊舎を建立して昔日のように大いに繁栄をもたらしました。現在、坊の名の付く温泉旅館があるのもこれに因むものです。

このように、有馬温泉を開祖・中興した行基菩薩・仁西上人の両師を偲び、温泉の弥栄を祈念して、毎年正月二日に「入初式」が催行されるのです。

「入初式」では、神式・仏式の両式によって行われるのが大きな特徴です。

すなわち、温泉神社の大己貴命のご御体を載せた御輿と、温泉寺に伝わる行基・仁西両師の神像を乗せた神輿に、神官・僧侶、旅館の主人、有馬芸妓の扮する湯女やが、温泉寺から式場(有馬小学校)まで練行列して歩き、式典が始まります。

 

式中、湯もみ行事が行われ、湯もみ太鼓の囃子の中、初湯をもんで湯女たちが適温に冷まし、その初湯で行基菩薩、仁西上人の御像に沐浴していただき、同時に源泉「金の湯」「銀の湯」が開湯します。

その後、「入初式の歌」を歌舞されたあと、浄米を若松で白紙に掃き寄せる「六根清浄の祓行事」が行われ、儀式は終了します。

 

帰路、再び練行列して、途中(有馬観光協会附近)、帰りゆく行基・仁西両師を乗せた輿に向かって湯女が「戻せ 返せ」と手招きで呼びかけて、その都度輿は三度行きつ戻りつします。これは慈悲深い上人を慕い、上人のお帰りを惜しむさまを表しています。そして温泉寺、温泉神社へと帰還していきます。