1月15日、奈良・西大寺(真言律宗総本山)で「大茶盛会」が行われました。
お茶碗の直径は約36cmで、重さは約7kgもあり、4~5人で廻します。このような茶碗ですから、両横の人に支えられながら飲みます。和気あいあいとした催しです。
これらは、多くテレビ・新聞でも報道されているので有名ですが、訪れた方々の声を聞いていても、一度行ってみたかったという方が多くいらっしゃいました。中には生後4か月のお子さんと来られ、毎年、この成長とともにお茶碗の大きさがどうなっていくのか楽しみですという方もおられました。
西大寺は南都七大寺の一で、天平神護元年(765)と大変由緒ある寺院です。隆興した西大寺でしたが、度重なる火災などで荒廃したのを、嘉禎2年(1235)興正菩薩叡尊上人が、当時守られなくなってきた戒律の復興を目指して再興されました。
この「大茶盛会」は、延応元年(1239)1月16日、玉体安穏、万民豊楽を祈願して密教の秘法である”菩薩流”の修し、16日の結願に、西大寺の鎮守八幡に献茶をし、同時に当時の人々にもお茶を「施茶」(茶を分け与える)したのが始まりです。この当時、お茶は貴重なもので、一般民衆はお茶を見たこともありません。お茶を施すにあたり、お茶碗を持参するのをみると、丼であったり、場合によっては桶のようなものまであったと言います。このようなものですと、30人、40人と一碗で飲みまわしができます。
床の間に飾られているのは、叡尊上人の御影と、この施茶の時の雪景色を再現していて、右には鎮守八幡があります。初めての大茶盛会の時の景色です。
江戸時代には屋内で行われるようになり、雪景色を見ながら飲んだと言います。
西大寺では「茶会」ではなく「茶盛」と言います。「茶盛」というのは、戒律に大きな関係があって、酒宴の「酒盛」ではなく「茶盛」として、茶はあくまで薬(カテキン等様々な効用)として、皆で廻して飲んだのです。この大きな茶碗を飲むには一人では飲めません。隣は知らない人であっても、笑い合いながら、助け合いながら出なければ飲めません。
西大寺では、お茶は薬として1年間の邪気を払い、無病息災を祈りながら飲むのです。
また西大寺では、2月4日まで、秘仏の愛染明王が御開帳されています。