〔修行中における諸注意

一.修法衣と日用衣は別とすること。足袋、白衣、襦袢は無論のことである。

一.修法中途にて発言は禁ず。止むを得ずして語る場合は、ラン字(赤色三角)を口舌に観想してオンランソワカ三反唱えて後語るべし。

一.修法中途にして下座することを禁ず。止むを得ずして一時下座する場合は、袈裟を三つにたたみて、その上に数珠を三匝にして置くか、或いは五鈷杵を安置すべし。その際の印言、外五鈷印、ノウマクサンマンダボダナンウン(三反)

一.厠に入る時は修法衣は絶対に避けるべし。数珠、袈裟、経文類は無論のこと絶対に持ちこんではならない。猶、用便後はウシュサマ明王の真言を観誦して不浄を除く。オンクロダノウウンジャク

 

 

 

〔四度加行の間禁ずるべき十七条

 一.無益な雑談をしてはならない。いたずらに日時を過ごす故。

 二.飲酒してはならない。諸の放逸はこれより起こる故。

 三.婦女子に親近してはならない。色欲が起き、殊に佛の制する故。

 四.悪友に交わらず。諸の誑乱はこれより生ずる故。

 五.   遊びにでかけたり、物見に行ったりしてはならない。眼耳鼻舌身意に受けるところ害が多い故。

 六.   碁(将棋、トランプ、花札)すごろくの類の一切をしてはならない。密教廃志のもととなる故。

 七.   諸の放逸的なことを想像しながら寝床に臥してはならない。諸の不善が多く起こる故。

 八.   資財をむさぼってはならない。心身悩乱のおこる故。

 九.   懈怠を好んではならない。精進すべし。善法の懈怠は真言の悉地を成就せしめぬ故。

 十.   特に入堂に向かってから自室に帰るまではものを言わないようにする。善法破壊のもととなる故。

十一.   佛堂は常に清浄にすべし。佛土なるべき故。

十二.   通法の師匠にはできる限り仕えるべし。求法通相の故。

十三.   勤修すべし。法命長久の基、この中にある故。

十四.   毎日、冥衆の法施を致すべし。人法擁護の故。

十五.   四恩徳に報うべし。佛道修行の本意なる故。

十六.   篤く三宝に歸敬すべし。金胎両部内証の故。

十七.   常に菩提心を憶念すべし。成佛の根源なる故。

                             (報恩院憲淳僧正 御作)

 

 

〔修行心得〕

 

憤怒心になること、他人の批判、不平不満は全て、貧・瞋・痴、三毒の所生なり。これに類する心を起こさずに心内平静にして、真言行を修せるという己の立場を佛に感謝し、何事に於いても常に清浄心をもってただ黙々と行ずるのみ。行住坐臥この心境を保持して「三密加持速疾顕」の教えが生きるのである。

 

〔忍辱の修行〕

 

短気は破綻の基。ただ一度の憤怒心が己の心担を崩壊してしまうことは、しばしば見受けられることである。長期間の修行ともなればとにかく争わぬ。怒らぬ。他人を批判せぬという心掛けがあらかじめ必要である。もしも怒心起こらんとする時は以下の真言を唱えよ  

「オンニコニコハラタテマイゾヤソワカ」

 

【行者日課】

 

一.起床(二時・閼伽水汲み・当番) ※この時間の井戸は飛び込んだ虫などが沈み、一番清らかという

一.後夜行(夏期三時、冬期四時)

一.朝勤行(夏期五時、冬期六時)

一.清掃

一.小食 ※朝食 袈裟着用(粥・沢庵・塩昆布または海苔一切)

一.日中行(夏期七時十五分、冬期八時十五分)

一.齊食 ※昼食 袈裟着用(白飯、みそ汁・野菜具入)

一.昼勤行 (十二時十五分)

一.作務

一.初夜行(三時)

一.夕勤行(五時)

一.非時食(六時) ※夕食 袈裟不着用(白飯、精進副菜一品)

一.施餓鬼(八時)

一.就寝(九時)

 

<厳禁> 週刊誌・新聞他修行に関係ないもの、勝負事、無断外出等

 

<内規> 修行時間に遅れし時、並びに規律に違いし時は以下の如し

    一度 注意

    二度 三日延期

    三度 一七日延期

    四度 退処処分

 

 

【修行における諸注意

 

一.修法衣と日用衣は別とすること。足袋、白衣、襦袢は無論のことである。

一.修法中途にて発言は禁ず。止むを得ずして語る場合は「ラン」字(赤色三角)を口舌に観想して「オンランソワカ」三反唱えて語るべし。
.修法中途にて下座することを禁ず。止むを得ずして一時下座する場合は袈裟を三つに畳みて、その上に数珠を三匝にして置くか、或いは五股杵安置すべし。その際の印言、外五鈷杵「ノウマクサンマンダボダナンウン」(三反)

一.厠に入る時は修法衣は絶対に避けるべし。数珠、袈裟、経文類は無論のこと絶対に持ち込んではならない。猶、用便後は烏枢沙摩明王の真言を勧誦して不浄を除く。「オンクロダノウウンジャク」

 

 

【眠臥時の作法】

 

両手共に金剛拳にして右脇にして臥すべし。右手を枕とし、左手は腰或いはそれより下に置くべし。或いは拳の印相、大指を掌中に安んじ、頭指、中指はしっかりと大指を握り、無明指、小指も共に拳となす。

観想すべし。心蓮華に満月輪あり。その中に五股金剛杵あり。その金剛杵、自身に遍じて、全身五股金剛杵なし。蓮華の上にあり。

以上の観に住して眠り、心を散乱せしむることなかれ・・・。

 

【入堂作法】

 

先.房中にて護身法

次.我身金剛薩埵と観想し、一歩一歩、八葉蓮華上を歩み、法界道場に参詣すと想いて門下に至る

次.弾指三反すべし (うん)三反

次.右の眼に(マ)、左の眼に(タ)あり。変じて日輪(右眼)月輪(左眼)の光となる。

次.閾を踏まずに右足より堂内に入るべし。

 

 

【閼伽水を汲む際、以下の如くすべし】

 

先.中禮(三反)

次.般若心経一巻

次.水天秘密真言

  「オンアバンハタエイソワカ」

次.浄水を汲む

次.中禮(三反)

 

 

【施餓鬼(神供)の注意】

 

一.行者、広大慈悲心に住する

一.東方に向かう

一.吉祥木、果林の下では行わない

一.数珠を摺ったり、鉢を叩くなどはしない

一.供物は食べてはならない。後程、川に流すか、清浄地に捨てる

一.供養終了した時点で、一応行者は奥に引込む。後を決して振り向かない。

 

 

【勤行前の基本動作】

 

三禮(五體投地)をして後、坐してまず衣紋づくろいをする。左を始めとし右に移る。袈裟をただす。

猶、印を結ぶ場合は他人に決して見せてはならぬ(加行中は別)

左腕の衣の上に重ねて印を結ぶ(中院流)

護身法は決して忘れぬように。

猶、勤行終了時において、三部・被甲護身をしてから三禮に移る。

 

 

【勤行 読経の要】

 

佛に対しても、経文を唱うる要は、腹の中から至心に憶念することである。口のみ動かして、単に経文の文字のみを見つつ聲を出しているような状態では何の意義もない。経文の功徳が発揮されるということは、己自身意識散乱することなく、真心にて腹の底から読誦すること。

他境を憶念しつつ読誦する経験意識の動きを抑制すべし。御真言を唱える要も同様である。

 

 

【法衣 法具について】

 

袈裟、数珠、経典、次第書、鈴杵等の法衣、法具は決して直に下に置かぬこと。足の踏むようなところ、他人がまたぐような場所は避けるべし。猶、それ等は名香でも焚いて常に清浄に保つように努めるべきである。

 

 

【滝行作法】  (初心用)

 

先.身体を洗う(手足 股間 腰 頭 頚 胸)

次.滝前にて至心合掌 中禮三反

次.護身法


三礼

    自帰依佛 当願衆生 体解大道 発無上意

    自帰依法 当願衆生 深入経蔵 智恵如海

    自帰依僧 当願衆生 統理大衆 一切無碍

 

開経偈

    無上甚深微妙法 百千萬却難遭遇

    我今見聞得受持 願解如来真実義

 

懺悔文

    我昔所造諸悪行 皆由無始貧瞋痴

    従身語意之所生 一切我今皆懺悔

 

     


密厳院發露懺悔之文                      覚鎫上人御作

 

我等懺悔す無始より来かた 妄想に纏はれて衆罪を造る 身口意業常に顛倒して 誤って無量不善の業を犯ず 珍財を慳悋して施を行ぜず 意に任せて放逸にして戒を持せず 屢々忿恚を起こして忍辱ならず 多く懈怠を生じて精進ならず 心意散乱して坐禅せず 實相に違背して慧を修せず 恒に是の如くの六度の行を退して還って流轉三途の業を作る 名を比丘に假って伽藍を穢し形を沙門に比して信施を受く 受くる所の戒品は忘れて持せず 学すべき律義は廢して好む事無し 諸佛の厭悪し給う所を慚ぢず菩薩の苦悩する所を畏れず 遊戯笑語して徒らに年を送り詔誑詐偽して空しく日を過ぐ 善友に随はずして痴人に親しみ 善根を勤めずして悪業を営む 利養を得んと欲しては自徳を讃し勝徳の者を見ては嫉妬を懐く 卑賎の人を見ては憍慢を生じ富饒の所を聞いては希望(けもう)を起す 貧乏の類ひを聞ひては常に厭離す 故に殺し誤って殺す有情の命(みょう) 顕はに取り密かに取る他人の財 触れても触れずしても非梵行を犯(ぼん)ず 口四意三互ひに相続し 佛を観念する時んば攀念(はんねん)を發(おこ)し 経を読誦する時んば文句を錯まる 若し善根を作せば有相(うそう)に住し、還って輪廻生死印の因と成る 行住坐臥知ると知らざると 犯(ぼん)ずる所の是の如くの無量の罪 今三宝に對して皆發露し上つる 慈悲哀愍して消除せしめ給へ 皆悉く發露し盡く懺悔し上つる 乃至法界の諸の衆生 三業所作の是の如くの罪 我皆相代って盡く懺悔し上つる 更に亦其の報ひを受けしめざれ